あゆを桶に入れて、ちゃぷんちゃぷんと水を躍らせながらかついで売りに来たものである。
このちゃぷんちゃぷんと水を躍らせるのに呼吸があって、それがうまくゆかぬとあゆはたちまち死んでしまう。これがあゆ売りの特殊な技術になっていた。
私はあゆを汽車で京都から運ぶ際に担い桶をかついだまま汽車に乗り込ませ、
車中でちゃぷんちゃぷんやらせたものであった。もちろん駅々では水を替えさせたが、随分えらい手間をかけて東京に運んで来たものである。
これは北大路魯山人(1883~1959年)が昔あゆを運送してきた方法です。
とんでもない苦労ですよね。
それだけ素材を大切にしてきたということでしょうか。
コーヒーも生産国から消費国に輸入される時は、気を使って運ばれています。
すべての豆ではありませんが、リーファーコンテナを使ったり空輸で運ばれたりもします。
いい状態の素材をそのままの状態で運びたいと思うのは、昔も今も変わりませんね。